社会福祉法人 岩手和敬会
青山和敬荘
介護士
袰田 大介さん
社会福祉法人岩手和敬会は盛岡市内に3つの特別養護老人ホームを中心に、在宅事業として通所介護・居宅介護支援・地域包括支援センター・配食サービス・障がい者日中一時支援など多様な事業を運営。エルダー制度や法人内研修、外部研修受講など人材を育てる法人です。
2022年1月18日に開催した、しごとクロストーク「介護・福祉のしごと」の当日の様子を一部ご紹介します。(※情報は開催時点のものです)
社会福祉法人 岩手和敬会
青山和敬荘
介護士
袰田 大介さん
社会福祉法人岩手和敬会は盛岡市内に3つの特別養護老人ホームを中心に、在宅事業として通所介護・居宅介護支援・地域包括支援センター・配食サービス・障がい者日中一時支援など多様な事業を運営。エルダー制度や法人内研修、外部研修受講など人材を育てる法人です。
第一商事株式会社
介護事業部
課長代理
綱木 新さん
第一商事株式会社はビルメンテナンス業で創業し約30年前、介護福祉用品を女性視点で貸与販売するレディーズ・アイ事業を展開しました。その後、介護福祉施設『やちだもの家』を盛岡市と北上市で5か所で運営。『つつがない毎日のご提案』をさせていただいています。
袰田さん:社会福祉法人岩手和敬会は1967(昭和42)年、岩手県内初の特別養護老人ホーム「山岸和敬荘」を開所し、1997(平成9)年に「青山和敬荘」、2012(平成24)年に「浅岸和敬荘」を開所。特養のほか、通所介護など在宅事業を運営しています。「和敬」は茶道の言葉「和敬清寂」から、主人と客が互いに心を和らげ、慎み敬い「豊かな出会いを実践する」という意味で、法人の理念になっています。法人の特色としてあげられるのは「キャリアパス研修」や「エルダー(先輩)制」など人材育成の制度が充実していることです。キャリアパスでは、介護の基礎からリーダー研修まで経験年数に応じた研修が用意されています。入職から1年間は、主任やエルダーが面接や実技指導でじっくり教育しますので、未経験者もスムーズに仕事を始められます。
袰田さん:わたしは「青山和敬荘」に勤務しています。入職したのは28歳で無資格・無経験でした。上記の研修制度や教育制度があり、最初戸惑うことはいくらかあったものの、先輩には年齢が近い人もいて話しやすい環境のなか、いろいろ覚えることができました。2014(平成26)年に介護部に入職し、2年後にエルダー、そこから5年後にリーダーに。これまでに介護福祉士、技能実習指導員、技能実習生活指導員の資格を取得しています。仕事はシフト制で、早番は6時15分から、夜勤は16時半から翌日9時半まで途中2時間の休憩時間があります。排泄や食事、入浴、更衣、車いすなどからの移乗の介助、口腔ケアなどが毎日の仕事です。
袰田さん:介護は奥深い仕事です。利用者や入所者一人一人が個性を持ち、心身の状況も日々変化しています。そんな方々の介助では、一つ一つの作業が発見の連続です。ベッドから車いすへの移乗や食事介護、その日その日の個人に合ったやり方は昨日と違うことも多く、生活を支える介護がうまくいくと達成感もあります。業務にあたる職員の人間性が表れるのが介護という仕事です。日々の仕事が自分の成長にもつながっています。
袰田さん:介護の仕事に就く前は、スーパーの青果売り場で仕事をしたり、金融や不動産の営業職についていたときもありました。ある会社の採用試験で受けた適性診断で、どちらかというと「他者との競争」よりも「サービスの仕事」に向いているという結果が出ました。介護の仕事はノルマ達成のためではなく、利用者の満足のためにサービスを提供すること。他者のために全力を尽くすことは、自分に合っていると思います。
綱木さん:日本が高度経済成長に入った時期、盛岡市内でもビル建設が始まりました。そんな時代の1961(昭和36)年に第一商事株式会社が設立されました。ビルメンテナンス業は、清掃や設備管理などさまざまな仕事があります。その後、女性視点で清掃用具や介護用品を販売するレディース・アイ事業を始め、これをきっかけに介護福祉事業に業務を広げました。介護福祉の施設名は「やちだも」で統一しています。盛岡市上ノ橋町の本社には、かつて樹齢が100年を超す大きなやちだもの木がありました。強く真っすぐ伸びる木を施設名にして、盛岡市だけでなく北上市や奥州市、宮古市でも事業を展開しています。保育事業のやちだも園は、働いている方の託児から始まり、今は加賀野と山岸の2園です。コロナ禍の前までは老人施設と隣接していることもあり、世代を超えた触れ合いがありました。
綱木さん:入所者には認知症の方もいて、予期せぬことが起きることがあります。この仕事を始めたころ、入所者の方をトイレに座らせ、別の用事があり10秒ぐらい離れたことがありました。戻ったらその方がトイレで転んでいて頭をぶつけ、病院に救急搬送したことがありました。幸い回復され、その後も元気に暮らしていただきましたが、同じことを繰り返さないよう「ヒヤリハット」の確認や危険予知は大切なことと心に刻んでいます。また介護にはやりがいがたくさんあります。例えば利用者さんから「おいしいラーメンが食べたい」という希望を聞いたら、そのためには狭い場所で少し歩いたり、立ったりすることが必要になります。そのため利用者さんに「リハビリを頑張ろう」と話し、それを反映したケアプランを作ります。そしてそんな希望が実現できたとき、介護員としてのやりがいを感じます。そして「介護職にリストラなし」です。本人が希望さえすれば年齢に関係なくいつまでも続けられる仕事です。
綱木さん:会社には、プログラマーやホテルスタッフなどから転職した方もいます。わたしは介護だけをずっとやってきましたが、転職してきた方がそれぞれの分野で培った能力を発揮しているのを見ると、素晴らしいと思います。元プログラマーの方は企画部でイラストレーターをしていますし、元ホテルスタッフの方の利用者に対するていねいな対応は素晴らしいです。よく、どんな人が介護現場に向いていますかという質問を受けますが、わたしの考えは「仕事に前向きな人」です。利用者はほんとうに一人一人違いますし、その心身の状況も変化します。「これをしてほしい」と利用者に言われたとき、決められたことだけをするのではなく「これはこうだけど、こうしてみたいのですが」と提案できる人が生き生きと働いています。利用者の多くは「訴えてくる人」ではなく、こちらから表情を読んだりしなければなりません。AIやロボットの時代ですが、介護は「人と人との関わり」が中心の仕事です。